元過労死ライン越え教師 Yb の日記

元過労死ライン越え教師が教育などについての考えを綴ります

○教育現場の現状は? Part 6 先生の仕事って?③ ~授業準備~

○教育現場の現状は? Part 6 先生の仕事って?③ ~授業準備~

 

 私が仕事をしながら大切にしていることがあります。それは、その業務にかかる時間がどのくらいなのかを把握、意識、そしてそこから改善を図るということです。例えばですが、本質的に時間のかかる業務と時間のかからない業務は存在しますが、いくら時間のかかる業務だからといって時間を短くできないかと言われれば、そうとは限らないと思うのです。ですから、様々な先生方や本、その他の情報からこの業務はもっと時間が短くできるか、むしろこの業務に時間をかけたほうが後々時短につながるかなどを考えながら日々の業務をこなしています。その中で教員の業務では珍しく適正な時間が公的に示されている業務があります。それは授業準備です。

 教員の授業準備に関しては、2021年、埼玉県の公立小学校教員の裁判の判決で授業準備は『1コマにつき5分間と認めるのが相当』と示されました。この判決に怒りを覚えた教員も多かったようですが、そうではないと思うのです。それが適正だとするのであれば、「無理だ。」ではなく、適正にして行く努力が必要なのではないかと思います。そこで私は4つの実践を行いました。

 一つ目は指導教諭にアドバイスを求めることです。授業公開時などに指導教諭に質問をすることができることがあります。私はその時に勇気がいることではあるのですが、思い切って質問をしてみました。以前から気になっていることで指導教諭のアドバイスには準備の時間が膨大にあることが前提の話が多いと感じていたのです。だから、その中で普段の授業では5分の準備時間で何を選択すればいいのかを聞いてみました。「私は普段ここまでなら5分でやっているのですが、5分ならばこちらを優先した方がいいということはありますか?」という具合に聞いてみましたが、

「これもやってほしいけど、5分じゃね……」といった5分という壁を考えてこなかったであろう返答が返ってきました。

 二つ目は日々の準備を5分でしてみることです。ここで気付いたことは理科などの実験系は5分では到底不可能だということです。であるならば、理科に15分かけるなら他の授業を3分などに圧縮することが求められるということがはっきりしました。

 三つ目は他の先生方の授業準備を真似するということです。しかし、これは難しかったです。やる部分すら把握せずに、その時の児童の意見から決めるという授業準備0派から授業準備を熱心に長時間かけて組み立てる派が別れていると感じたからです。

 四つ目は強制的な時間制限を設けることです。そこで編み出したのが、児童の朝の学習中にその日の授業準備を行うことです。朝の学習は15~20分程度ありますので、単純計算で5分の授業準備が3、4コマ分作ることができます。前日に理科や絶対に前もって安全面などの観点から時間をかけて準備をしないものをやっておいて、後は当日の朝に授業準備を行うことで絶対的な時間制限が設けられて、5分の制約を守らなければならなくなりました。これは我ながら画期的な方法と感じています。

 Oliver Burkeman(2022.)の『Four Thousand Weeks Time Management for Mortals』では『ホフスタッターの法則』として紹介されていますが、どんな仕事でも時間は予想以上にかかるものであり、余裕をもって計画すればするほど時間はかかってしまうのです。ですから、私は絶対的な終わりのラインを引く必要があると思うのです。

 

参考文献 Oliver Burkeman(2022.), Four Thousand Weeks Time Management for Mortals, VINTAGE.

     オリバー・バークマン(2022.),限りある時間の使い方,かんき出版.